2009/9/12 Saturday

宇宙開発におけるリーダーシップ ~H-IIBロケットの成功にあたって~

Filed under: コーフン!! — ono @ 15:00:17

H-IIBロケット初号機の打ち上げは、100点満点の素晴らしい成功だった。ロケットの積み荷は、国際宇宙ステーションへの補給という重大な任務を背負った無人補給船、HTVだ。

新しいロケットの初号機は、テストのために何も載せずに打ち上げられるのが普通である。しかし今回のH-IIBロケットは、初号機だというのに、いきなりHTVという世界が注目する重要な積み荷を載せていた。若葉マークの車に総理大臣を乗せるようなものだ。まさにぶっつけ本番である。恐らくテスト機を打ち上げるお金も時間も足りなかったからだろう。それにも関わらず、一発で手堅い成功を収めた。日本の技術力の高さが証明されたと、胸を張って世界に主張できる成功である。

しかも、このロケットの開発費はたったの270億円だったそうだ。もちろん僕の財布の中身と比べれば大変な額なのだけれども、大型ロケットの新規開発には1兆円単位のお金が使われるのが常である。乗用車の開発費でさえ、一車種につき約1,000億円かかると言われている。モノの開発とは、それだけお金がかかるものなのだ。だから、たとえこのロケットは完全な新規開発ではないとはいえ、クルマを作るよりもずっと安い値段で日本最大のロケットを完成させてしまったことには、驚く他ない。きっとJAXAや三菱重工のエンジニアたちは、残業手当も貰わずに深夜まで必死に働いたのだろう。本当に頭が下がる。

htv
オレンジ色の部分がH-IIBロケット。先っぽに付いている紫色のモノがHTV。(Image courtesy of JAXA)

ロケットに積まれていた無人補給船・HTVも今回が初飛行で、今後一週間に渡って宇宙を航行した後、国際宇宙ステーション(通称ISS)にドッキングする。その目的は、食料や水、実験器具などを補給することである。ISSに長期滞在している宇宙飛行士は、久々に新鮮なご飯にありつけるわけだ。

HTVの成功を、日本だけではなく、アメリカやヨーロッパも待ち望んでいるのは、単にそれが美味しい日本食を運んできてくれるからだけではない。ISSの今後を左右する重要な役割が、HTVに課せられているからなのだ。現在、ISSへの補給の中核を担っているのは、アメリカのスペースシャトルである。しかし、スペースシャトルは来年には引退してしまい、後継機のオリオンが初飛行をする予定の2015年までには5年の空白がある。その空白を埋めるのが、ロシアのプログレス、ヨーロッパのATV、そして日本のHTVという、各無人補給船なのである。

一方、アメリカにも無人補給船の計画があるのだが、開発から打ち上げまでの一切を、NASAは民間企業に委託している (Commercial Orbital Transportation Services program)。SpaceX社が開発しているDragon、そしてOrbital Sciences社が開発しているCygnusという宇宙船がそれだ。宇宙船の開発をベンチャーがやってしまうあたり、さすがアメリカなのだけれども、これらの無人補給船が2010年のシャトル退役に間に合うのかといえば、甚だ怪しい。両宇宙船は、それぞれの会社が自社開発するロケットで打ち上げられるのだが、SpaceX社が現時点で運用する唯一のロケットであるFalcon 1は、今までに5回打ち上げられ、3度失敗している。しかもDragon補給船を打ち上げるには、Falcon 1より10倍以上も大きなロケットを新規に開発しなければいけないのだ。道は険しい。一方のOrbital Sciences社は、ロケットの実績は十分なのだが、補給船の開発をスタートしたのが遅かったため、初飛行は早くても2011年になるという。

もしDragonやCygnusがシャトル退役に間に合わなかった場合、日本のHTVの重要性はますます高まる。ロシアのプログレスはもちろん、ヨーロッパのATVもロシア側のドッキング・ポートを用いるため、下の表が示すように、HTVでなくては運ぶことができない物があるからだ。

表:各国の無人補給船の比較

宇宙船

最大積載量

運ぶことが出来る積み荷

水、食料

燃料

ISPR

非与圧ペイロード

プログレス

ロシア

2.6t

×

×

ATV

ヨーロッパ

7.7t

×

×

HTV

日本

6.0t

×

Dragon
(計画中)

アメリカ(民間)

2.5t?

×

×

Cygnus
(計画中)

アメリカ(民間)

2t?

×

とりわけ、HTVが国際標準実験ラック (ISPR)を運ぶことができるのは重要である。国際標準実験ラックとは、様々な機器と、それを収納するラック(棚)がセットになったものだ。ISSの内装は、ロシアのモジュールを除き、全てがこのラックで規格化されている。平たく言えば、家具が全て同じ大きさ、同じ形をしている、ということだ。ISSの内部には、高さ2m、幅1mのラックが上下左右にひたすらびっしりと並んでいて、それらのラックの中に、各種の実験装置、生命維持装置、調理器具やトイレなど、生活と仕事に必要な全ての機器が取り付けられているのだ。ISS全体には全部で約90のラックを設置するスペースがあり、そのうち約半分が、実験ラックに充てられている。

このように機器をラック単位でモジュール化することで、模様替えが簡単になる。ラックごと取り替えるだけで済むからだ。例えば、冷蔵庫のラックを引っこ抜いて、そこへ実験道具が並んだラックをすっぽりはめ込めば、キッチンは実験室に早変わりする。新しい実験をしたいときは、古い実験ラックを棄て、代わりに新しい実験ラックをはめればよい。こうすることで、ISSは変化する要求に柔軟に対応できるのである。そして、2010年以降は、日本のHTVが、新しいラックを地球からISSへ運搬する唯一の手段となる可能性があるのだ。

そうなれば、アメリカが日本のHTVを購入する可能性も十分にあると僕は思う。宇宙開発において、今まで日本はアメリカにお世話になりっぱなしだったが、初めてアメリカが日本の技術に頼らざるを得ない状況が生まれ得るのである。

莫大なお金をISSに投資しつづける意義には相変わらず疑問符が付く。しかし、ISSを所与のものとしてしまえば、H-IIBとHTVは、久々に日本が宇宙において強い存在感を放つ、とても意義のあるプロジェクトである。今回のH-IIBロケットの成功に加えて、一週間後にHTVがISSへのドッキングに成功すれば、日本は宇宙開発において強力なツールを持つことになる。

さて、技術は優れているけれども、政治や駆け引きが滅法苦手な日本。このツールを、将来の月や火星への国際有人探査プロジェクトを見据えて、どのように活用していくのだろうか。日本が宇宙開発においてリーダーシップを発揮することはできるだろうか。

ヨーロッパはすでに、ATVを改良し、宇宙ステーションから物資を持ち帰ることが出来る再突入カプセルを開発する計画を発表している。また、将来の月面基地の建設を見据え、月への無人補給船の開発を提唱している。アメリカのように贅沢にお金を使えないけれども、アメリカに足りないものを補完する技術に狙いを定め、それをアメリカに提供する見返りに、アメリカの宇宙インフラを使わせてもらうという意図だろう。とても賢い戦略だと思う。

あくまで僕の邪推だが、日本はHTVを元にして、有人宇宙船を作ろうという下心があるように思える。過去にスペースシャトルが事故で長期間ストップしたことを考えれば、アメリカのシステムの保険となる有人輸送システムを自前で持つことは、悪くないアイデアだと思う。日本国民にとっての誇りにもなるし、宇宙観光ビジネスにも転用できるかもしれない。ただし、先に挙げたアメリカの民間企業のSpaceX社も、有人宇宙船を開発する計画を既に発表している。将来の日本の宇宙開発のライバルは、ベンチャー企業になるかもしれない。

いづれにせよ、日本はアメリカほど宇宙に贅沢にお金を使えない。ヨーロッパのように、的を絞った戦略的な投資をしてほしい。民間企業の参加を促すことも重要だ。加えて、アメリカだけでなく、ヨーロッパやロシア、インドや中国とも、宇宙開発における協力関係を拡げていくべきであろう。そもそも国営の宇宙開発は、国の誇り、国の技術力の宣伝塔としての役割が大きい。国際的に存在感を示さなければ、その意義は大きく損なわれるのだ。

日本の宇宙開発は、技術力だけで言えば、既に世界に肩を並べる段階に達した。その後に問われるのは、その技術をいかに世界の舞台で役立てていくかという、戦略とリーダーシップである。

2007/10/31 Wednesday

Red Sox 優勝パレード

Filed under: コーフン!!, 日々徒然 — ono @ 14:05:52

“World Champion”になったRed Soxの凱旋パレードを見てきました!

ボストンは小さな街で、パレードの出発点のFenway球場も、終点のダウンタウンも、うちから自転車で10分です。午前の仕事を早めに切り上げ、橋を渡ってBoylston St.へ。既に赤いシャツを着た大勢の人が通りの両側を埋め尽くしていました。
crowd.jpg

ducktour.jpg

パレードは”Duck Tour”の車に乗ってきます。”Duck Tour”とは、第二次世界大戦で使われた水陸両用車でボストンを巡る観光アトラクションのこと。道路の上からボストンの名所を巡った後、ザッバーンと川に飛び込むのが売りです。

3年前の優勝の時は、この水陸両用車に乗って、MITの目の前を流れる川の上でもパレードが行われたそうですが、川に飛び込むファンがいたので、今年は道路の上だけになってしまいました。やっぱりRed Soxには阪神と同じ空気を感じる…。

torophy.jpg

優勝トロフィーです。

pedroia.jpg
自信ないけど、たぶん左が新人王候補で恐怖の二番打者のペドロイア。

daisuke.jpg

お待たせしました、我が松坂大輔!!
「ダイスケー!」と叫んだら振り向いてくれました。大抵は面倒しか起こさない僕の大きな声も、こういう時は役に立ちます。

daisuke_close.jpg
拡大してみた。彼のおかげでRed Soxを応援する楽しみが増えました。異国での一年目は辛いことも多かったと思う。来年はさらなる活躍を期待!!

okajima.jpg
たぶん左端のアジア人が岡島!!かと思いきや、通訳だったらしい。。。。

drew.jpg
いまいちどれが誰かわからん。分かる人、教えてください!!
追記:「子供をだっこしてるのがCrisp、そしてその右がDrew」だそうです。

さて、パレードを見た後、日本食マーケットに寄って食料を買い込み、橋を渡ってMITに戻ると、なにやら警察が交通整理をしていました。まさか、と思ったら、来た!!パレードが帰り道にMITの前を通るのに偶然遭遇したのです!!下の写真の背景は僕が住んでいる寮です。なんたる幸運。日ごろの行いパワーですね(笑)
sox_ashdown.jpg

しかし、Red Soxが “World Champion”と呼ばれることには、未だに違和感を感じます。恐らくメジャーリーグが世界で最もレベルが高いリーグである事に異論はないでしょうが、アメリカとカナダのリーグでしかないMLBのチャンピオンを、何の疑いもなく「世界チャンピオン」と呼んでしまうことに、この大きな国の小ささを感じます。


追記:僕が当てずっぽうで書いた人名がことごとく外れていたので、修正しました。Mさん、ご指摘ありがとうございます。

2007/10/29 Monday

Let’s go, Red Sox!!!!!

Filed under: コーフン!!, 日々徒然 — ono @ 13:55:25

Red Soxやったーーーー!!!!パペルボンすげーーー!!優勝ですよ、優勝!!!!ボストンは大騒ぎ、窓からの外からは人の叫び声や車のクラクションが絶え間なく聞こえます。花火もあちらこちらから。

やー、まじ幸せ。今年の阪神の不甲斐なさを補って余りあるRed Soxの活躍でした!!!

さあ、次はセルティックス&ペイトリオッツ!!!

2007/10/22 Monday

勝った!!!!!!

Filed under: コーフン!!, 日々徒然 — ono @ 13:51:27

勝った、勝った、勝ったーーーーーー!!!

スポーツ・バーで六甲颪を歌ったら、アメ人に「何の歌?」と聞かれて説明に困った。

今年のレッドソックスは阪神よりも強いかも!!

2007/9/4 Tuesday

STeLA Leadership Forum 2007 in Tokyo

Filed under: やったぜ!!, コーフン!! — ono @ 8:53:29

さて、どこから書こうか。あれだけ濃い想い出がたった10日間に凝縮していると、どこから書き出したらいいのか見当がつかない。手が付けられない、という方が正しいかもしれない。でも、あんなに素晴らしい10日間を、手の付けられない塊のまま、書かずに放っておくわけにはいかない。書かなくては。

STeLA. Sushi and Teriyaki Lover’s Association. じゃなくて、Science and Technology Leadership Association. 「グローバルな理系リーダーシップの啓発」を目的とした学生団体です。そう、大学院生になってまで、学生団体なんぞをやっているわけです。留学生仲間の思いつきから端を発し、手探りで設立したこの団体。その一年半の努力の結晶が、この8月の終わりに東京で催された、”STeLA Leadership Forum 2007 in Tokyo”です。

発想は単純で、アメリカの学生20人を日本に連れてきて、日本人学生20人と一緒に、10日間カンズメにするという企画。でも単なる異文化交流プログラムでは終わらないのがこの企画のミソです。テーマは「理系リーダーシップ」。参加者が、見学(日産、新日鉄、大田区工場群)、講演(尾身財務大臣 etc)、討論、そして共同作業を通して、環境問題やグローバル化について真剣に考え、将来の世界を科学技術の立場から引っ張っていくリーダーシップを育てるという、まあ何ともケッタイな企画なのです。

フォーラム中の僕の役割は「ファシリテーター」。40人弱の参加者は、6つのチームに分かれて討論や作業をするのですが、そのひとつに朝から晩までご一緒して、彼らの議論を”facilitate”するのが、僕の役目でした。”facilitate”とは、化学反応の触媒のような役目だ、と言うと、「理系」の人には分かり易いでしょうか。触媒は、自分自身は化学反応に関わらないけれども、反応を促す役割を持つ。同じように、自分は議論の内容に関わらないけれども、議論を活性化させるような発言をするのが、ファシリテーターです。そんな、ついつい出しゃばってしまう性格の僕にはなんとも不向きな役割を引き受けてしまったわけです。

ファシリテーターのいいところは、チームやそのメンバーたちの成長を、最も近い場所から観察できること。僕のチームには、5人のメンバーがいました。イスラム教徒のクセに酒飲み、されど確固たる思想を持っているバングラデシュ人”E“(♂)。 見た目はおっとりだけど負けん気が強い中国人”D“(♀)。以上二人が、アメリカの大学からの参加者。日本側からは、照れ屋で口下手だが自分の殻を破らんとする意志を持つ旅人「」(♂)。 ほんわかお兄さんキャラだが芯が強そうな「」(♂)。口数は少ないが早稲田で学生団体を率いる熱い若者「」(♂)。この五人が織り成す、青春ドラマ顔負けの、涙あり笑いあり喜びありの人間成長物語が、この十日間でした。

team.jpg
(↑Team 5のメンバーたち)

彼らが最初に直面した問題は、やはり、という感じで、コミュニケーションの問題でした。日本人の英語の下手さは認めざるを得ないところで、考えていることの半分も言葉に出来ないし、まずもって流れる議論に割り込んで発言するタイミングすら掴めない。これはまさに、僕が留学直後に直面した苦しみそのものでした。

驚くべきは、彼らの問題発見能力と問題解決能力の高さです。始めは途方にくれていたアメリカ側参加者の二人も、二日目には「聴き方」を覚えました。”E”は日本人に積極的に質問を振ることで彼らの発言を促し、”D”はあえて黙ることで日本人に発言のタイミングを与えるようになりました。日本人の三人も、積極性こそが大事であることに気付き、例え英語が下手でも、臆せずに手を挙げて発言するようになりました。僕が1年もかかったコミュニケーションの問題の解決を、彼らは二日で成し遂げたのです。

次に彼らが直面した問題は、「仕事の進め方」でした。彼らは二日目に手痛い失敗をした。その日の見学をプレゼンテーションにして発表する時間があったのですが、他の全ての班がスライドを完成させて質の高い発表をする中、うちのチームだけは、準備の時間を丸々議論に使ってしまい、スライドすら作ることが出来なかったのです。しかし彼らは、このたった一度の失敗で、すぐに軌道修正をしました。その後、彼らはプレゼンや作業一般の「進め方」について徹底的に議論し、効率のよい議論の進め方や分業方法を考え出しました。その成果は目に見えて表れました。フォーラム最終日のプレゼンテーションを、彼らは入念かつ計画的に準備し、お世辞抜きに、どこのチームよりもスマートで上手くまとまった発表をしました。

フォーラム後半は「チームプロジェクト」に充てられました。各チームが手作りで「ピタゴラ装置」なるものを作りあげ、その技術やテーマ性、芸術性を競う、という企画です。「ピタゴラ装置」とは何か、については、僕の下手な文章で説明するよりも、ビデオを見ていただくほうが早いでしょう。

ビデオへのリンク。なぜか埋め込めない・・・

(↑これは、去年の11月、MITでの同様のイベントに僕らが参加したときの作品です。)

「仕事の進め方」の問題で学んだ彼らは、効率的に作業を進めるため、コンセンサスを取って意思決定をするやり方を捨て、「さ」をTask Managerに任命し、彼に最終的な意思決定を委ねることに決めました。さて、ピタゴラ装置作りで、またも大きな問題が発生します。”D”は非常にアイデア・ガールで、独創的なアイデアを次々に出していきます。しかし、彼女にはものづくりの経験が全くなく、それらのアイデアは、他のメンバーから見れば実現性に乏しいものでした。結局、彼女のアイデアはあまり省みられず、彼女にはフラストレーションが溜まっていきます。目に見えて彼女は機嫌が悪くなり、他のメンバーも彼女に手を焼いている、という感じでした。当然、チームの雰囲気は悪くなり、仕事の効率は落ちます。

最も悩んだのは、Task Managerを任された「さ」でした。彼としては、締め切りまでに装置を完成させなくてはいけない、というプレッシャーがある一方、”D”の意見を全て無視し、チームに不和をもたらすわけにもいかない。彼はそんな悩みを、プロジェクト一日目の夜に中華料理屋で行われたミーティングで吐露したのでした。この悩みに、”E”は熱い言葉で応えました。
「俺たちはTask Managerの『さ』を信じているから、自分の決定に自信を持ってくれ。明日も一緒に頑張ろう。」
肩を震わせる「さ」。「え!?」と思って彼の顔を見ると、彼は眼鏡をはずし、指で涙を拭っていました。温かく彼の肩を叩くチームメイトたち。そして、明日も頑張ろうと乾杯をしたわけです。

翌日。かつ、プロジェクト最終日。”D”はアイデアを出すだけではなく、積極的に手を動かすようになりました。この日からファシリテーターも作業に参加することが許されて、図工が大好きだった僕は、我を忘れて没頭したわけです。分業もうまくいき、チームは時間内に、非常に再現性の高い装置を完成させることが出来ました。テーマは”Bridge”。球が転がると橋が架かり、その上を自動車が滑り落ちる仕掛けです。個人や異文化間の溝に橋を架ける、という、まさにこのチームが十日間で体験したことを、装置で表現したわけです。

project.jpg

しかし、装置が完成しても、真面目な”D”の苦悩は続きました。私は結局、紙にアイデアを描いただけで、実際に自分が作った部分は、全体のほんの少しでしかない。自分は全くチームに貢献できなかった、と。その日の終わり、終電近く、満員の山手線の中で行われたの反省ミーティングで、「け」が”D”に対し、精一杯の英語でこんなことを言いました。
「僕は”D”に謝らなくてはいけない。”D”にはアイデアがあって、僕には技術があった。僕がもっと上手いやり方をすれば、もっと”D”のアイデアを生かすことが出来たのかもしれない。」
涙を流す”D”。それに連られ、男泣きする「け」。二人はハグをし、チームメイトは肩を叩く。満員の山手線、周りの乗客から見れば怪しいことこの上なし。しかしそれが、このフォーラムのクライマックスだったと言っても過言ではないでしょう。

翌日、装置を科学技術未来館で発表したのち、最後の飲み会をして、フォーラムは解散。十日間一緒にすごした仲間が、ひとり、またひとり、大きな荷物を抱えて、”See you again!”と言って去っていくのは何とも悲しかった。そう、気付いてみれば、彼らと初めて会ったのは、たった十日前なのです。なのに、もう何年も前から知っていた仲間のような気がしました。

このように、お涙頂戴のB級青春ドラマ顔負けの、熱く、濃密で、そしてベタな物語を、いい年をした学生たちが大真面目で作り上げたのが、STeLA Leadership Forum 2007の十日間です。人はこのベタで出来すぎな物語を滑稽だと笑うでしょうか。どうぞ笑って下さい。誰が何と言おうと、我々がこの十日で得た経験は他では決して得がたいものだったし、僕もこの素晴らしい物語を端から見ていて、参加者以上に学ぶことが多かった。参加者の皆様、ファシリの仲間、裏方で働いてくれた皆さん、フォーラムには準備出来なかったけれども準備に奔走してくれたみんな、本当に、本当にありがとうございました。


最後にすこし自慢。”STeLA”という名前は、僕の発案です。”Science and..”の意味に加え、ラテン語のStella(星)、英語のstela(記念碑)の意味もかかっている。って偉そうに言って、もちろん後付けですが(笑)なにはともあれ、”STeLA”という言葉が、参加者、実行委員併せて80人近くを束ねる合言葉になった。新聞にも載った。飲み会では「ステラコール」が起こった。自分の言葉が、こんなにもみんなに受け入れてもらえて、本当に嬉しい限りでした。重ね重ね、みんな本当にありがとう。この言葉が、来年以降も受け継がれていくことを、切に願います。

STeLA Webサイトマスコミにもちょくちょく紹介されました

友人たちの関連ブログ

2006/4/19 Wednesday

スミソニアン航空宇宙博物館 上

Filed under: コーフン!! — ono @ 12:28:51

土日とPatriot’s Day (愛国者の日)の3連休で、ワシントンDCに行って来ました。なんといってもお目当ては、世界の航空宇宙の殿堂、スミソニアン航空宇宙博物館!!もう興奮のハリケーン、感激のトルネードでした!!!

dc1.jpg

大きなガラス張りのゲートをくぐり、荷物検査を終え、まず目に飛び込んだのは、アメリカ初の有人宇宙船、マーキュリー・Friendship 7のカプセル!!もちろん本物!!もうこれだけで膝がガクガク!

上を見上げると、初の民間有人宇宙飛行を達成した、Space Ship One!!! 実は2年前にMojave砂漠にこのフライトを見に行ったのですが、その機体と感動の再開!!

少し奥には、初めて火星に着陸した探査機、バイキング!!頭上には、大きな白いパラボラアンテナ…紛れもなく、深宇宙探査のさきがけ、パイオニア!!!

そして!!!!左には焼け焦げた大きな円錐の物体が…なんと、初の月着陸を成し遂げた、アポロ11号の指令船・コロンビア!!!!もちろん本物!!!!!うおぉぉぉっっっ、もう泣きそう、いや、正直、泣いてました!!!

玄関ホールに置いてある展示品だけで、もうノックアウト状態。どうなっているんだ、この博物館は!!???

dc2.jpg

あふれ出る涙をこらえつつ、興奮に震える足を引きずり、奥のホールへ。所狭しと並んだ展示物を一目見た瞬間、即、二度目のKO!!

目の前にあるのは…アメリカ初の宇宙ステーション、スカイ・ラボ!!!バックアップ機なので、本物と全く同じです。しかも、二階からスカイ・ラボの中に続く人の列が…中に入れるのか!!????サービス良すぎるぞ、この博物館!!

隣には、ハッブル宇宙望遠鏡!!!でかい!!!こんなものを宇宙に持っていったのか!!!???

この博物館で凄いのは、旧ソ連側の展示品も充実しているところ。世界初の宇宙飛行士、ガガーリンが訓練で使った宇宙服なんかもありました!!!

そして!ホールの隅にあったのは、焼け焦げたソユーズTMのカプセル!!!しかもなんと、これ、初めて宇宙に行った日本人、TBSの秋山さんが乗ったカプセルだったのです!!!機体にはチョークで秋山さんのサインが!!!!

もう完全に叩きのめされて、ふらふらになりながら辿りついた東ウイングの端には…アポロの月着陸船!!!しかもこれ、計画がキャンセルされて使われなかった本物です!!!

appolo_ctl.jpg

(↑アポロ司令船のコントロール・パネル)

そしてそして・・・そして、博物館中央の部屋にあったのは、人類初の飛行機、ライト・フライヤー1903!!!!うほぉおおのもろほぉぇ…感激でもう酩酊状態。

light.jpg

バスで50分ほどのダラス空港のそばに、つい3年前にオープンした、博物館の別館があります。ここは博物館というよりは、「格納庫」。普通の展示品は一切なく、巨大な建物の中に、大小100を超える飛行機が並んでいます。しかもどれも航空宇宙の歴史を造った機体ばかり!!

dc3.jpg

別館に入った瞬間、正面に見えたのは…スペースシャトル・エンタープライズ!!!これは滑空試験用のモデルで、耐熱タイルとエンジンは作り物ですが、それ以外はすべて本物!!!しかしでかい!!!!こんなでかいものが宇宙まで行くのか!!??

格納庫の一番奥に陣取る、一際大きな白い機体…なんと、世界初の超音速旅客機、コンコルド!!!!!う、美しい…なんて美しい機体なのだろう…

そんなわけで、もう体が蒸発してしまいそうなほどの興奮と感激を味わった一日でした。マニア丸出しの長文でごめんなさい。一緒に行った友達は、1時間ほどでさっさと切り上げて他の博物館に行ってたのですが、僕は丸一日いても全く足りないくらいでした!!

ところで、別館を訪れた最大の目的は、他にあったわけですが、それはまた今度



追記(2007/7/1): その後、今年の4月にも、桜を見るためにDCに行ったのですが、性懲りもなくまた航空宇宙博物館に行ってしまいました。アポロ11の焼け焦げた司令船、何度見ても泣けます。

Copyright (C) 2005 Masahiro Ono
HTML convert time: 0.443 sec. Powered by WordPress ME